横浜ゴムといえば、主にタイヤメーカーとして有名ですが、車椅子用の除圧クッションなども作ったりしています。その名もMedi-Air(メディエア)というのですが、これがただの車椅子クッションではありません。底付き検知センサーとコンピュータ制御によってエアーセル内の空気圧を全自動で調整できる、つまり、自動で褥瘡(床ずれ)を防止してくれる機能が付いた車椅子クッションです。僕自身、頚椎損傷(C4ーC5)の障害があり自分で除圧できる状態ではないため、当時ロホクッションのHIGHタイプを利用していたにもかかわらず、車椅子に乗ったときにできる褥瘡にかなり悩まされていました。そしてあるとき、メディエアの試作機が出来たことを知り、2009年10月すぐさまモニター購入をし利用し始めました。
その効果は思った以上のものでした。購入した当時、僕自身の右尾てい骨にも長年、褥瘡が鎮座ましましていたんですが、徐々に徐々に小さくなり、その後、傷口が完全に塞がってからは、もう1年半以上、新たな褥瘡はできていません。これはメディエアのクッション自体、ロホクッション並みの優れた除圧機能を持っているにもかかわらず、さらにコンピューター制御による空気圧調整機能が付いてくるというメディエアの特性によるところが大きいと思います。これほんと、童話「ウサギとカメ」のウサギが超ストイック野郎だったみたいなもんで、元々足の速いウサギ(性能の良いクッション)が、怠けないで最後までストイックに走り続けた(自動制御で、ずっと除圧してくれる)くらいのインパクト。ウサギが途中で怠けなかったら、そりゃもうぶっちぎりという感じ。
そんなメディエアが2010年9月29日に、メディエア試作機の後継機となる「Medi-Air1」が出たということで実際使ってみました。
「Medi-Air1」については以下の動画で詳しく説明されています。
「Medi-Air1」には、モニター制度があり、購入前に1ヶ月、実際に体験できるようになっています。介護用品は、ずっと使うものなので購入前に商品を見に行って購入してみても、実際使ってみたら体に合わなくて倉庫に放置なんてことは、よくあることです。僕自身、それで何度も買い物に失敗しています。その点、この1ヶ月間モニター制度は購入前にその使用感を肌で体験することができ、非常にありがたい制度だと思います。
それで、申し込むと以下のような箱が届きます。
箱を開けるとこんな感じ。
メディエア本体。
モニター購入した試作機と比べると、本体は約25%程軽量化されています。
カバーを外した中身。座面両サィドに配置されたガードセルが、体の傾きを防止してくれる構造になっています。
上から見たところ。
エアーセルは、一つ一つ取り外すこともできるので、個人の体の都合に合わせて座面の傾きを調整することも可能です。それに、僕は以前喫煙していたとき、煙草の灰をこぼして40,000円以上するロホクッションを丸々一つダメにしてしまったことがあるのですが、このエアーセル方式だと、セルの一つに穴が開いても一つ取りかえるだけで済みます。
カバーを全て外すとこんな感じ。
上から見たところ。
正面から見たところ。
操作部位のアップ。左の赤いのが電源。真ん中が操作リモコンの差込口。右が充電池の差込口です。
取り外したカバー。
充電池です。試作機とは違い、充電池が取り外せるようになったことから、途中で電池が切れても、電池を交換するだけでよくなりました。もし、充電のし忘れで電池が切れたりすることが多い人や、電池動作時間の10時間以上座っていたりする人でも、継続して使用できるようになりました。(※交換用電池は別売りで購入する必要があります。)
充電池用のケース。
上の充電池よケースを車椅子の後ろに次のように取りつけて使用します。
充電器です。充電をするときは、プラグを差し込んでスイッチを押すだけなので操作は簡単でした。①差し込んで②スイッチを入れる、というふた手間なのでヘルパーさんもやりやすそうです。
充電池の代わりにACアダプターで直接メディエアを使用することもできます。
操作リモコンです。バッテリー残量や、動作モードを見ることができます。下のピンクとブルーのボタンで空気量を調節することもできます。
試作機には、このリモコンが無かったのですが、これのおかげで電源のON/OFF状態、動作モードが見ることができるようになり便利になりました。
僕は指が動かないので、操作をすることはできませんが、マジックテープで車椅子の脇に貼り付けて動作状態の確認をしています。
リモコンにも収納カバーが付いてきます。
バッテリーのカバーとマジックテープで組み合わせることもできます。
次のような簡単操作ガイドも付いてくるので特に操作で困ることもありませんでした。
頚椎損傷C4ーC5の僕が考える、このメディエアの最大の恩恵は、やっぱ除圧能力ですね。ロホクッションも、かなりの除圧能力を発揮してくれるクッションだと思いますが、僕みたいな自分で除圧が出来ない者が長時間車椅子に座るには、もう一つ何かが足りません。その足りない点を自動除圧機能で補ってくれたのがメディエアだと思います。
いやほんと使用前は、毎日毎日ズボンを脱いで薬を付けてガーゼを貼り代えるのが面倒で面倒でたまりませんでした。一回五分で終わることなのですが、これが毎日毎日一年以上続くとボディーブローのように効いてきます。ていうか、決して口には出しませんが介助者の方こそ、はるかに面倒だったことでしょう。こういった煩わしさが無くなっただけでも大助かりです。
メディエアは障害者自立支援法の補装具完成用部品に指定されていて市町村にもし出れば補助も受けることができますし、介護保険も使えてレンタルすることもできるので、手にしやすくなる環境も整っています。僕自身は制度の詳細は詳しくわからないので、疑問がある場合は問い合わせから聞いてみるのがいいと思います。僕も試作機を買う前に電話で問い合わせをしてみたのですが、非常に丁寧に答えて頂けました。そこで、いろいろ聞いて購入し、ついでに市町村に届け出を出したら補助金も出してもらえて現在に至ります。
Medi-Air メディエア
http://www.yrc.co.jp/medi-air/
Medi-Air1パンフレット(PDF)
http://www.yrc.co.jp/medi-air/catalog.pdf
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